遺贈

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遺贈



遺贈とは、遺言者が、遺言によってある人に財産を無償で譲与することをいいます。遺贈を受ける者を受遺者といいます。遺贈は単独行為であって、15歳に達している未成年者は法定代理人の同意なく遺贈をすることができます。遺贈は、法定の遺言の方式に従ってしなければならず、これに違反したものは無効です。

遺贈の種類

遺贈には、特定遺贈包括遺贈があります。特定遺贈とは、「相続財産のうち、甲土地をAに遺贈する」というような遺贈のことをいい、遺贈する財産を「甲土地」と特定してするものです。包括遺贈は、「相続財産の3分の1を遺贈する」というように、相続財産の全部または一部について一定割合を示してする遺贈です。

受遺者

受遺者は、遺贈によって利益を受ける者をいいます。権利能力を有する者はすべて遺贈を受けることができます。法人は相続人になれませんが、受遺者にはなることができます。受遺者は、遺言の効力が生じたとき、(遺言者死亡時)生存していなければなりません。(同時存在の原則)遺言者より先に死亡しているとき、または同時に死亡した場合は、遺贈の効力は生じません。(相続における代襲相続のように死亡した受遺者の相続人が遺贈を受けることはありません。)
胎児は、遺贈については、生まれたものとみなされるので、胎児を受遺者とする遺贈もすることができます。

受遺欠格

受遺者にも欠格事由があります。(民法891条【相続人の欠格事由に関する規定を準用】

【民法第965条】
第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。
【民法第891条(相続人の欠格事由)】
次に掲げる者は、相続人となることができない。

  • 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
  • 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
  • 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
  • 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
  • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者


遺贈義務者

遺贈の多くは、目的物の引渡しや移転登記等の手続をとる必要があります。これらの手続を実行する義務を負う者を、遺贈義務者といい、遺贈義務者は原則として相続人となります。包括受遺者相続財産管理人も遺贈義務者になり、遺言執行者があるときは、これらの者に代って遺贈義務者となります。



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