合同会社の定款記載事項

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合同会社の定款記載事項



株式会社では、発起人が定款を作成するとされていますが、合同会社には発起人制度はなく、社員となろうとする者が定款を作成することになります。

絶対的記載事項

定款を作成する際、必ず記載がないと定款が、「無効」となる事項です。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 社員の氏名または名称及び住所
  5. 社員の全部が有限責任社員とする旨
  6. 社員の出資の目的及びその価額


会社の商号

商号とは、会社の名称のことで、定款の絶対的記載事項であり、かつ、登記事項となっています。原則としてどのような商号を用いてもかまわないのですが、会社なら、株式会社合同会社合名会社合資会社の会社形態に合った文字を用いなければなりません。また、会社でない者が会社と誤認するような商号を用いることもできません。旧商法の時代には、「他人が登記した商号は、同市町村内において、同一の営業のためにこれを登記することができない」とされていましたので、商号を決める場合には類似商号がないかどうか綿密な調査が必要でしたが、現行の会社法ではこの規制は廃止され、近隣に同じ商号で同じ営業を行う会社があっても登記することは可能となりました。(ただし、同一の所在場所で同一の商号を登記することはできません。)
また、会社法ではなく、商標法などの他の法令で他社の商標を侵害するような商号を定めることが制限される可能性はありますので、類似商号調査の必要性がまったくなくなったわけではありませんので注意が必要です。

会社の目的

会社の目的は、定款の絶対的記載事項であり、登記事項でもあります。明確性適法性営利性が求められ、従来はこれらに加えて具体性も必要でしたが、会社法施行により要件が緩和され、具体性については不要となりました。
「明確性」とは、目的として記載した文言が、一般人に明瞭に理解されるものかどうかということをいいます。余程意味不明でない限りは問題となることはありません。
「適法性」とは、目的の内容が法令や公序良俗に反していないことをいい、殺人請負、麻薬販売などは当然認められません。また、法令で士業の独占業務とされている業務等も会社法上の目的としては認められません。
「営利性」については、収益を上げられない寄付等の行為だけが唯一の目的となると出資者への利益分配が不可能となるため、そのような目的は認められませんが、一般に営利目的でないとされる事業も営利性があるとされる事業と共にであれば目的にすることができます。会社は定款に定めた目的の範囲内でしか業務を行うことができませんので、設立時に定款を作成する際に、会社が行う業務に適合した目的であるかを調査する必要があります。会社成立当初は目的としていなかった新規事業に参入するような場合には、会社の目的を変更する必要が生じることもあります。将来予想される事業の目的は設立時に入れておいた方が手続費用の点でもよいと思います。
許認可が必要な事業の場合などは、目的の記載によっては許認可が得られないということもありますので、このような場合は目的の記載内容を取得したい許認可に適合するようにしなければなりませんので注意が必要です。

本店所在地

定款には会社の本店を置く場所を記載する必要があります。
記載の仕方には、

  • 「本店を沖縄県○○市に置く」
  • 「本店を沖縄県○○市○○町○丁目○番○号に置く」

というように、市町村まで特定する方法と、地番まで特定する方法とがあります。
本店を移転する場合にその意思決定の機関に違いがありますが、合同会社の場合、定款で別段の定めをすれば、「定款変更は代表社員が決定する」とか「定款変更は業務執行社員の過半数で決定する」など別段の定めをおくことができますので、株式会社ほどのこれらの本店所在地の定め方にこだわる必要はないともいえます。
定款に定める本店所在地が最小行政区画までの場合でも登記申請する時点では、○丁目○番○号まで含んだ本店の所在地を定める必要があります。この場合、社員の過半数に(1人の場合はその社員の決定)より「○丁目○番○号」まで含んだ本店の所在地を決定し、その決定を証する情報を登記申請において提供することになります。

設立に際して出資される財産の価額

設立に際して出資される財産の価額又はその最低額が会社の資本金になります。資本金の額に制限はありませんので、「1円」でも設立は可能です。

社員の氏名または名称及び住所、有限責任社員とする旨

合同会社の定款には社員の氏名と住所、有限責任社員とする旨を記載しなければなりません。「社員の名称」とは、社員となる者が、法人の場合です。つまり、法人でも合同会社の社員となることができるということになります。

社員の出資の目的及びその価額

合同会社の社員は、金銭等(労務や信用は出資できない。)で出資しなければならず、その内容を定款に記載しなければなりません。金銭出資の場合は、出資の目的の価額を記載する必要はありませんが、不動産や動産のような金銭以外の財産の出資については、金銭をもって見積った価額を定款に記載しなければなりません。



相対的記載事項

定款に記載がなくても直ちに定款が無効とはなりませんが、記載がない以上その事項につき効力が認められないものを相対的記載事項といいます。会社法に「定款により別段の定めをすることができる」旨の定めがある事項が相対的記載事項となります。相対的記載事項の記載を欠いた定款は、無効にはなりませんが、設立時にあらかじめ定めておいたほうがよい記載事項の数多くあります。すべてではありませんが、相対的記載事項の主要なものは以下のとおりです。

  1. 業務執行社員の定め
  2. 代表社員の定め
  3. 社員の退社
  4. 合同会社の解散事由
  5. 合同会社の存続期間
  6. 利益の配当


任意的記載事項

定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で、会社法その他の強行法規の規定等に違反しないものを任意的記載事項といいます。




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