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株式会社・合同会社・一般社団法人等に関するQ&A

会社・法人に関するご質問に対する回答の一部を掲載しています。参考にしてください。
また、当サイト内に掲載されていないご質問等ございましたら、メールフォーム等でお問い合わせください。


Q.資本金1円で株式会社が設立できる?

A.できます。
旧商法では、特例を除き、株式会社は1000万円、有限会社は300万円の資本金(その他現物出資財産等)がないと会社を設立することができませんでした。しかし、2006年5月1日施行の新会社法では、最低資本金の規制が廃止されましたので、資本金1円から株式会社の設立も可能です。会社法施行によって新しく制定された合同会社も資本金は1円から設立できます。
資本金1円といっても、株式会社の設立には公証人の手数料や登録免許税は合わせて20万円くらいかかります。また、設立後の対外的な信用という点では資本金はある程度あったほうがよいといえます。

Q.株式会社設立に必要な役員は?

A.1人から設立できます。
旧商法では、株式会社を設立するためには、取締役3名以上・監査役1名以上の、合計4名の役員が必要でしたが、2006年5月1日施行の新会社法では、最低人数の規制がなくなり、取締役1名だけで株式会社を設立することが可能となりました。新会社法のもとでは、会社の規模や実態に合わせ会社の機関構成を選択することが可能です。(すべての株式会社が取締役1人でよいということではありません。)

Q.電子定款を作成するメリットとは?

A.電子定款とは従前の紙で作成した定款に代えて、Word、一太郎などのワープロソフトで作成された文書をPDF化したものをいいます。株式会社の場合、PDF化した定款を登記供託オンライン申請システムを利用して公証人に認証を嘱託するものです。この電子定款にすると、定款に貼付する収入印紙4万円が不要になるというのが最大のメリットです。
電子定款認証の印紙税4万円が不要というのは、一見魅力ですが、個人が電子定款を作成するためには、PDF作成ソフト、電子証明書など10万円相当の費用をかけなければなりません。4万円の節約に10万円かけてしまっては無意味ですので、個人がご自身で定款を作成する場合は従来の書面で作成する方法によることになります。
電子定款に対応できる行政書士等のに依頼すれば、収入印紙4万円が必要なくなる上、定款案作成や認証嘱託の手続も代行しますので、定款認証に関してはご自身で行うよりもお得だといえます。
合同会社の定款も電子定款にすることができ、合同会社は公証人の認証は必要ありませんので、電子署名をすることで完成します。しかし、上記で述べたとおり、電子署名をするには印紙代4万円より費用がかかります。

Q.同じような商号の会社があっても会社設立はできる?

A.旧商法の時代には、「他人が登記した商号は、同市町村内において、同一の営業のためにこれを登記することができない」とされていました。新会社法施行後は、この規制は廃止され、近隣に同じ商号で同じ営業を行う会社があっても登記することは可能です。(ただし、同一の本店所在場所で同一の商号を登記することはできません。)ですが、商標法などの法令で他社の商標を侵害するような商号を定めることが規制される可能性はあります。
そもそも、新しく商号を決める場合に、既に近隣で同一または類似の商号を持つ会社や個人事業主が存在するのに、あえて同じような商号を選択する意味があるでしょうか?また、知らずに類似称号になってしまうことも考えられます。そういう事態を避けるためにも、設立手続的に問題がないとしても、類似商号の調査はある程度行った方がいいと思います。

Q.会社の事業目的はどのように決めればいいの?

A.会社の事業目的は、定款の絶対的記載事項であり、登記事項でもあります。明確性、適法性、営利性が求められ、従来はこれらに加えて具体性も必要でしたが、会社法施行により要件が緩和され、具体性については不要となりました。
「明確性」とは、事業目的として記載した文言が、一般人に明瞭に理解されるものかどうかということをいい、「適法性」とは、目的の内容が法令や公序良俗に反していないことをいいます。「営利性」については、収益を上げられない寄付等の行為だけが唯一の目的となっていると出資者への利益分配が不可能となるため認められませんが、一般に営利目的でないとされる事業も営利性があるとされる事業と共に定めるときは事業目的にできます。
上記の要件に適合した事業目的であるかどうかの判断についてですが、株式会社の場合、公証人が定款認証の際に判断していますが、法務局で申請が通らないということもないわけではありませんので、登記申請前に管轄法務局の登記官に問い合わせておけば安心です。
合同会社の場合は、公証人のチェックは入りませんので、会社を設立する方が決めることになります。インターネットで検索すれば、事業目的を集めたサイトなどがあり参考になります。
当職が法務局(沖縄県)の商業登記担当の登記官に確認したところ、よほど意味不明であったり、不法行為を目的にしているなどでない限り大丈夫という回答でした。事業目的でその他、気をつけるべきことは、会社は定款に定めた目的の範囲内でしか業務を行うことができませんので、会社成立後に、今まで行っていなかった新規事業に参入する場合には、会社の目的を変更する必要があるということです。予め将来的に行う可能性がある事業は目的に入れておくといいと思います。
また、許認可等が必要な事業の場合などは、目的の記載の仕方を官公庁が指定している場合があり、目的の定め方によっては許認可が得られないということもありますので、目的の記載内容を、取得する許認可に適合するように注意が必要です。

Q.商号にローマ字やアラビア数字は使用可能か?

A.できます。
「株式会社OKINAWA」、「株式会社123」のように、ローマ字・アラビア数字のみ、又はその組み合わせの商号も認められます。また、「&」「’」「?」「,」「・」も商号の先頭又は末尾以外なら使用できます。「.」は、商号の先頭以外には、使用できます。(「?OKINAWA?株式会社」などは不可)
以前は、ローマ字を使用できなかったため、「株式会社オキナワ」というように、登記に関してはカタカナ表記を使用し、看板などは「株式会社OKINAWA」としているようなケースもありました。特に問題は生じないと思いますが、登記もローマ字表記にしたいという場合、現在は変更することが可能です。

Q.会社設立のメリット・デメリットは?

A.会社を設立するメリットとデメリットについては以下のようなことがいえます。

会社設立のメリット

  1. 社会的信用を得やすい。
  2. 法人化していないと取引できない場合がある。
    (ネットモールへの出店や、大手企業は法人としか取引しないなど)
  3. 家族に報酬を分けたり、所得を分散するのが容易。
  4. 税制上の優遇。青色欠損金を個人は3年間に対し、会社は7年間控除できます。青色欠損金は、赤字が出てもその赤字を翌期に繰り越せるというもので、新規設立の会社には有利な制度です。
  5. 負う責任の違い。株式会社や合同会社の場合、万が一倒産しても経営者個人、株主は責任を負いません。法律的には会社と個人は別人格とされており、出資金以上の責任は追及されることはありません。個人事業の場合、事業に失敗すれば、個人の預金、住んでいる家や土地など、負債に対しては無限責任を負わなければなりません。
    (ただし、経営者個人が会社の負債に対し個人保証をしていた場合(連帯保証人などになっている場合)は責任を負います。中小企業の場合、金融機関などは代表者個人に連帯保証を求めるのが通常です。)
  6. 決算期を自由に決められる。
  7. 永続性がある。個人事業では、事業主が亡くなると事業に必要な許認可などが途切れてしまいますが、会社であれば、許認可を得ているのは会社なので、代表者が亡くなっても代表者を変更するだけで事業を継続できます。永続性があるということは、お客にとっては安心、信頼につながります。
  8. 資金調達が有利。一概には言えないところもありますが、個人事業主より融資を受ける場合などに有利となります。また、株式会社など株を発行して資金調達することもできます。

会社設立のデメリット

  1. 会社設立に、時間と費用がかかる。
  2. 会社運営・維持に費用、手間がかかる。会社は地方税として最低年間7万円かかります。個人事業は不要。
  3. 記帳は複式簿記で行う必要がある。
  4. 役員の改選など手続が増える。同じ人がずっと役員をするとしても手続が必要で、その都度、登記費用などがかかる。

上記以外にも、もちろん様々なメリット・デメリットがあります。
個人事業から会社に移行する目安としては、事業所得が○○○万円を超えたら・・・、などと言われるようですが、ケースバイケースで考える必要があります。ただ、事業が大きくなってくればくるほど、会社にしたほうが税金などで有利な点が多いです。最近のご依頼では、ご依頼者自身は会社にする必要性を感じなくても、元請から法人化するよう言われることもあるようです。

Q.株式会社と合同会社の違いは?

A.少ない資金で事業を始める場合でも株式会社の設立が容易になったため、最初から株式会社を選択する方も増えているようです。合同会社は、新会社法施行で有限会社廃止に伴い、新たに規定された会社ですが、出資者の責任は株式会社と同じ有限責任です。株式会社と合同会社の大きな違いは、定款自治と設立費用にあるといえます。合同会社は、会社内のことの大部分は定款の規定に委ねるという定款自治が認められているので、出資の割合などにとらわれず利益の配当をしたり、会社の意思決定の方法なども定款に別段の定めをすることにより自由度が高いのが特徴です。(株式会社は合同会社に比べて、会社法の規定に縛られている部分が多い。)
また、合同会社は設立費用が株式会社に比して安く押さえられます。株式会社等を設立する際に必要な「定款認証」が不要なので、公証人の手数料が要りませんし、登録免許税が株式会社より低額です。また、株式会社のような定期的な役員変更なども不要ですので、設立後の手続費用も安く抑えることができます。最初、小さく事業始める場合には、株式会社を設立するのでなく、合同会社で起業して、後に事業が軌道に乗ったら株式会社へ組織変更するというのもよい方法かもしれません。ただ、世間一般には「合同会社」より「株式会社」という方が信頼を得やすいということはいえると思います。

Q.会社設立にかかる費用は?

A.会社の設立費用ですが、株式会社、合同会社の設立に最低限必要な費用(ご自身で手続する場合)は、以下のとおりです。

<株式会社> <合同会社>
公証人定款認証手数料 50,000円 なし
定款に貼付する印紙代 40,000円 40,000円
登録免許税 資本金の1000分の7
最低150,000円
資本金の1000分の7
最低60,000円
上記合計 240,000円 100,000円
その他 上記以外にも、添付書類の取得費用などもかかります。また資本金も必要ですが、現在は1円から設立できます。

行政書士等に依頼して定款を電子定款にした場合は定款に貼付する印紙4万円が不要です。また、上記金額には現れませんが、ご自身の労力と時間を無駄にしなくて済むということと、慣れない手続の中での、わからないという不安から解放され、ご自身の事業の準備に専念できるというところもメリットでしょう。

Q.会社法施行後の有限会社の取扱は?

A.新会社法が施行された2006年5月1日以降は新たに有限会社を設立することはできません。既存の有限会社は、「特例有限会社」という会社法上の株式会社として、商号はそのまま有限会社を名乗って存続することが可能となっています。登記や定款などは読み替えなどで対応しているので特例有限会社となるのに特に手続は必要なく、自動的に移行しています。ただ、定款は旧有限会社法に基づいて記述されているので、現行の会社法では読み替えることになるのですが、金融機関や官公署などに提出する際に、分かりにくいから現行法に記述を引き直して提出してほしいといわれることもあるようです。
また、特例有限会社から通常の株式会社への組織変更をすることもできます。沖縄県内には多くの有限会社が存在しますが、最低資本金の制限がなくなりましたので、株式会社に組織変更するのはそれほど難しいことではなくなりました。


「有限会社ABC」を「株式会社ABC」にする場合の手続きは、
①株主総会を開催する。
定款変更の決議を行い、「株式会社ABC」に変更する。旧有限会社の総会は「社員総会」でしたが、現在は会社法上の株式会社ですから、有限会社であっても「株主総会」になります。
②有限会社から株式会社へ移行した旨の登記申請をする。
本店所在地を管轄する法務局へ「有限会社の解散の登記」と「有限会社から移行して株式会社を設立した旨の登記」2つを同時に行う必要があります。
③登記完了

特例有限会社の場合には、取締役や監査役の任期はありませんが、株式会社になることによって役員は一定の任期が経過するごとに改選しなければならなくなります。(原則、取締役2年、監査役4年。ただし、非公開会社では定款でそれぞれ10年まで延長可能。改選の度に法務局へ役員の変更登記を申請する必要があります。)
特に差し迫った必要がなければ、株式会社へ移行しないで特例有限会社のままのほうが煩わしい手続きが少なくて済みます。



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