一般社団法人の定款記載事項

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一般社団法人の定款記載事項



株式会社のような発起人制度はなく、一般社団法人の社員となろうとする者(2名以上必要)が、共同して定款を作成し、その全員がこれに署名、または記名押印します。一般社団法人は非営利法人ですので、定款に、「社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える。」旨の定めは記載することができません。
旧社団法人は許可主義をとっていたため設立には主務官庁の許可が必要で、定款認証は不要でしたが、一般社団法人は準則主義をとっているので、定款には公証人の認証が必要とされ、認証がないと定款の効力が生じません。一般社団法人の定款も、株式会社等と同様、電子定款とすることも可能です。

定款の絶対的記載事項

一般社団法人の定款に必ず記載しなければならない事項です。
絶対的記載事項は以下のとおり。

  1. 目的
  2. 名称
  3. 主たる事務所の所在地
  4. 設立時社員の氏名又は名称及び住所
  5. 社員の資格の得喪に関する規定
  6. 公告方法
  7. 事業年度


①目的

目的は、一般社団法人が行う事業をいいます。その事業には特に制限はなく、公益的事業、共益的事業、収益的事業等、強行法規や公序良俗に反しない事業であればあらゆる事業を目的とすることができます。

②名称

一般社団法人は、その名称中に一般社団法人という文字を用いなければなりません。
一般社団法人の名称の登記は、株式会社等と同じく、その名称が既に登記した他の一般社団法人と同一であり、かつ、その主たる事務所の所在場所が当該他の一般社団法人の主たる事務所の所在場所と同一であるときは、することができません。

③主たる事務所の所在場所

事務所の所在場所の記載は、地番まで特定する必要はなく、最小行政区画まで表示すればよいことになっています。

<例>
最小行政区画まで  「沖縄県○○市に置く。」
地番まで特定    「沖縄市○○市○○町○丁目○番○号」

最小行政区画までにとどめておけば、同一の市町村内での主たる事務所の移転の場合、定款変更をする必要がありません。

④設立時社員の氏名又は名称及び住所

一般社団法人の設立に際して、定款に署名又は記名押印する者を特定する趣旨で、設立時社員の氏名又は名称及び住所を記載します。氏名、住所は、自然人のことですが、名称とは、法人の名称のことをさします。つまり、一般社団法人の社員には、法人もなることができるということです。

⑤社員の資格の得喪に関する規定

社員の入社・退社・除名等に関する規定です。社員の資格について法人法は制限を設けていないので、法人が社員になることはもちろん、営利法人(株式会社等)も、権利能力なき社団が社員になることもできます。

⑥公告方法

一般社団法人は、公告方法を定めなければなりません。公告方法は以下の4つです。

  • 官報に掲載する方法
  • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
  • 電子公告
  • 主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法

特筆すべきは、「主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法」です。株式会社などの会社では認められていない公告方法で、費用がかからない点がメリットです。

⑦事業年度

会社と異なり、事業年度を定款に定めなければなりません。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に記載することで、法的な効力を持つ項目のことです。
一般社団法人の相対的記載事項の例は以下のとおりです。

  • 社員の経費の負担
  • 理事会、監事または会計監査人の設置
  • 理事会の決議の省略
  • 責任限定契約  など


任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款に定めなくても定款は無効にはならないが、定款に定めればその効力が認められるものをいいます。任意的記載事項として定款に定めた事項を変更するには、定款変更手続が必要になり容易には変更できなくなります。
任意的記載事項の例は以下のとおり

  • 従たる事務所の所在地
  • 社員総会の招集地
  • 定時総会の招集時期
  • 社員総会の議長
  • 社員総会議事録の署名義務者
  • 役員の員数
  • 清算人  など


記載禁止事項

社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与えるような定款規定は効力を有しません。一般社団法人は、剰余金の分配を目的としない法人ですので、剰余金を分配する目的なら株式会社等の営利法人を設立することになります。

一般社団法人の定款の認証

一般社団法人の定款も、株式会社と同様、公証人の認証が必要になります。定款認証の公証人手数料は、1件5万円です。(手数料令35条)一般社団法人の定款には株式会社等のような印紙税は必要ありません。
定款の認証に関する事務は、法人の主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の所属公証人が扱うこととされています(公証人法62条ノ2)。管轄区域外の公証人が認証した定款は無効であり、この定款を添付して設立登記申請があった場合には、改めて管轄区域内の公証人の認証を得た定款を添えて登記申請をさせるべきであるとされています。



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